INVADER OF “bamboo”

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ここ吉野ヶ里町の松隈地区はほんの四半世紀前まで、優良な竹の子の産地でした。
充分とまではいかないまでも重要な収入源であったと聞きます。
ところが、貿易の自由化によって安い中国産の竹の子が入ってくるようになります。
加えて高齢化で竹林から人が消えていき、後継者もいませんでした。
その上、近年では竹の子を漁るイノシシによる被害は深刻で荒廃に拍車をかけています。これまで、荒廃を止める竹産業の復活などの試みは度々繰り返されてきたようですが、現状を見る限り奏効したとは思えません。
そこで、少し視点を変えて地域文化の創生に向けた竹との共生をコンセプトにした一つの試みを紹介します。
吉野ヶ里町では特に放置竹林が多くある中山間地の人たちが中心になって、20年ほど前から自分たちでヴィブラフォンのような打楽器や笛などを作り、バンブーオーケストラを結成して活動を続けています。
ともすれば忘れられていく故郷の原風景を竹の響きや音色の中に蘇えらせるという実に微笑ましい活動です。
このままITが幅をきかせ電脳化が進行すれば、人は益々時間に支配され、これまで以上に余裕がなくなる。決して良いことばかりではありません。
だからこそ、地域の創生は何も経済効率を優先し風景を破壊するのではなく吉野ヶ里町のように故郷を守る方向に向かっても決して悪くないと思っています。かつてはごくありふれた日常の風景がこれから先、あたかも非日常の風景として心を慰めてくれることが無いとは言えません。
そんな穏やかな創生の方法もあるのではないでしょうか。

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この光景を見て建築家の隈研吾さんが設計した南青山の梅窓院の参道を思い出していました。
美しい竹のトンネルです。
しかし、東京のそれは人の手によってつくられ、吉野ヶ里のそれは人が放置した結果、たまたまこうなったのです。わずか30年前には想像もできなかった悲惨な竹林の未来の光景が今ここにあります。

 

 

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「Invader」かつてそんな映画がありました。竹は毎年、5~8m 円状に勢力を拡大すると言います。侵入竹は先住木の存在など委細構わず、はびこっていきます。木に比べ竹の成長が圧倒的に早いからです。侵入と言 って も 森林や竹林 が 管 理 さ れて い た 時 代 に は 全くと言っていい程問題になりませんでした。と ころ が 、 所 有 者 が 業 を 諦 め そこを去ったときから竹は一気に侵攻を始めました。 さながら竹と杉の混合林です。こうなればもう手の付けようが無い。

取材協力: 多良正裕