鳥栖市立弥生が丘小学校を訪ねて

これまで何度となく佐賀県内の学校の木質化を取材してきました。

一口に木質化と言っても何も定義があるわけではありません。
そこにはそれぞれの木質化がありました。

例えば佐賀市立北山小中校の地産杉を使ったフローリング。厚みは35mmもありました。
しかも無塗装。雑巾がけをしていた子供たちの姿が今も印象に残っています。
また昨年お世話になった基山小学校のランチルームの杉の丸太。地元の森林組合産出というトレーサビリティー。
共通点は地産地消でした。

そこで、今回取材した鳥栖市立弥生が丘小学校の木質化とオリジナリティーに溢れた教育空間について少し書きます。
ここは県内一のマンモス小学校です。
この小学校の最大の特徴は上品で明るく清潔ということに尽きます。殊に採光については十分すぎるほど配慮されていました。
トップライトがいたるところに配置され、とても明るく広いイメージです。
限られた空間を広く見せる工夫は、住環境整備の上で極めて重要な意味を持ちます。
射しこんでくる光、その光によって照らされる壁の色、そして影、また照り返しの具合など豊かな採光は快適を演出します。壁の色は目を強く刺激しない程度のオフホワイトでとても優しい明るい空間でした。
そうした配慮によって子供達が視覚的に空間から受けるストレスは大いに軽減されたに違いありません。

それからもう一つ大きな特徴は各教室に手洗い場が設置されていたことです。
インフルエンザなどの感染症対策のために配慮された設計です。
感染症防止の決め手は何と言っても清潔です。
このアイディアは今後の学校空間の設計上重要なファクターと言えます。

またその教室棟は国産杉をふんだんに使った木造平屋建てです。
それが4棟ほど並列に配置され、棟間はコンクリートやアスファルトではなく地面に芝生が植えてあって花壇にはいろんな花がさいていました。
これはおそらく熱対策と景観対策です。
教室は全て空調完備ですが、トップライトによる照度補助であったり、外構の熱対策など
省エネにも配慮されたとてもメリハリのあるバランスのとれた学校空間でした。
子供たちの健康への配慮といい、環境への配慮といい、校舎そのものが重要な環境教材と言えます。

この鳥栖市立弥生が丘小学校の教育空間づくりの取り組みは木質化の前に横たわっている重要な問題についてつまり建物がそれを取り巻く人や環境への配慮が重要であることを教えています。校舎と言わず建築のあり方について将来への示唆に富んだ重要な空間だったと思います。

最後にご案内いただいた校長先生と鳥栖市教育委員会の皆様のご協力に対し厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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トップライトから光のシャワー

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各教室に設置された手洗い場

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国産の杉をふんだんに使った木造平屋建ての教室棟

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棟間の花壇