「ウッドデザイン賞2017」を受賞しました

 12月7日(木)から12月9日(土)にかけて、東京ビッグサイト東展示場において、日本最大級の環境展示会「エコプロ2017~環境とエネルギーの未来展」が開催され、「ウッドデザイン賞2017ブース」にて、上位賞作品(最優秀賞1点、優秀賞9点、奨励賞15点)と、入賞作品250点が展示されました。

 ウッドデザイン賞とは、「木」に関するあらゆるモノ・コトを対象に、暮らしを豊かにする、人を健やかにする、社会を豊かにするという3つの消費者視点から、優れた製品・取組等を表彰するものです。これによって、“木のある豊かな暮らし”が普及・発展し、日々の生活や社会が彩られ、ひいては国産材の需要が拡大し、適正な森林整備が進むことを目的としています。

ウッドデザイン賞は、建築・空間・建材・部材分野、木製品分野、コミュニケーション分野、技術・研究分野の4分野に分かれており、そこからさらに、ライフスタイル部門、ハートフルデザイン部門、ソーシャルデザイン部門の3部門に分かれます。

佐賀県林業課では、デザイナー等の発掘・育成を図りながら、実際に商業スペース等のリノベーションに取り組んだ「さがつく木のインテリアデザイン創出事業」をコミュニケーション分野のソーシャルデザイン部門で応募しました。

8月28日(月)の一次審査を通過し、10月25日(水)の二次審査の結果、応募総数453点の中から入賞250点の一つに選ばれました。

 今年で3回目となるウッドデザイン賞ですが、より多くの方々に認知され、木の良さや価値が再発見されることを期待します。

ウッドデザイン賞2017 賞状
みどりの女神との写真
人材発掘・育成でさがつく木のインテリアデザイン
佐賀県農林水産部林業課(佐賀)
展示パネル(エコプロ2017「ウッドデザイン賞2017ブース」にて)

森林資源の循環利用を進めるためには、森林から生産される木材を適切に利用することが必要である。本県では、木材利用のPRや魅力的な木造建築物を提案する人材が不足していることなどから、その利用が十分でない状況である。このため、デザイナー等の発掘・育成を図りながら商業スペース等のリノベーションに取り組んだ。

【審査委員会より】

大工、工務店、家具製作と著名デザイナーが参画し、ワークショップを通じて実際のリノベーションとともに人材育成を図る取組である。各人材のネットワーク化によって木材利用の相談窓口として機能することが期待できる。

第7回「さがの優良丸太展示品評会」が開催されました

10月2日(月)から10月3日(火)にかけて、佐賀市大和町の佐賀県森林組合連合会木材共販所において、佐賀県森林組合連合会・森林組合の共催により、第7回「さがの優良丸太展示品評会」が開催されました。
この品評会は、県内の森林所有者の方々が長年かけて育成し適正に管理された優良材を対象に、森林整備の推進と県産木材の販売促進・イメージアップを図ることを目的に開催されています。
今年度は、県内一円から杉23椪と桧10椪、合計33椪の出品があり、厳正な審査の結果、最優秀賞(佐賀県知事賞)は、杉部門において巨瀬純一さん(鹿島市)が、桧部門において家田正二郎さん(太良町)が受賞されました。また、優秀賞ほか各賞は下記の方々が受賞されました。
表彰式は、11月5日(日)、「よかウッドフェスタ」の開催に合わせて、佐賀市天神のどん3の森において、多数の関係者出席のもと執り行われました。
受賞者や出品者の方はもとより、多くの森林所有者の方々が、今後とも一層、山づくりに励まれることを期待します。

 

<受賞者>

  • 最優秀賞(佐賀県知事賞)
    杉部門 鹿島市 巨瀬 純一
    桧部門 太良町 家田 正二郎

 

  • 佐賀県森林組合連合会長賞
    杉部門 太良町 山邉 萬
    桧部門 鹿島市 寺山 正喜

 

  • 佐賀県木材協会長賞
    桧部門 太良町 橋爪 瑞子

 

  • 佐賀県林業改良普及協会長賞
    桧部門 鹿島市 一瀬 盛雄

 

  • 佐賀新聞社長賞
    杉部門 佐賀市 豆田 雪子

 

  • サガテレビ社長賞
    桧部門 佐賀市 栗原 大次郎

 

最優秀賞(佐賀県知事賞) 杉部門 巨瀬純一さんの出品材
最優秀賞(佐賀県知事賞) 桧部門 家田正二郎さんの出品材
審査会(佐賀県森林組合連合会木材共販所にて)
表彰式(佐賀市どん3の森にて)

2017「よかウッドフェスタ」を開催しました

11月5日(土)、佐賀市のどん3の森ふれあい広場をメイン会場に、佐賀県及び公益財団法人さが緑の基金の主催により「よかウッドフェスタ」を開催しました。

当日は、秋空の下、小城太鼓保存会による和太鼓演奏で幕を開け、引き続き、佐賀県緑化功労者等の各種表彰式が執り行われました。会場内では、県産ヒノキを使ったスプーンづくりをはじめ、県産木材を使った木(き)んぎょすくい、親子でくぎ打ち競争、チェンソーアート&オークション、棟上げ実演・もち投げ、河口恭吾さんによるトーク&ミニライブ、県産原木しいたけの試食・販売、山菜おにぎり販売など、子供から大人まで幅広い年代の多くのお客さんで賑わいました。

また、今年度から始動した「森川海人(もりかわかいと)っプロジェクト」の第一弾として、森林の大切さ、森・川・海のつながりの重要性などについて理解を得るためのパネル展示も行いました。

そのほか、県内各地から参加した緑の少年団の子供たちは、牛乳パックを使ったどんぐり苗木づくりや枝打ちの体験活動を行いました。
来場者の方々は、様々なイベントで、県産木材や緑とふれあいながら木の温もりやその良さを実感されたことと思います。

今回の参加を契機として、普段の生活の中でより一層、県産木材の利用や緑への愛着が深まることを願います。

小城太鼓保存会による和太鼓演奏
~プレオープニング~
緑化功労者等表彰式
木工工作コンクール表彰式
建築設計競技表彰式
優良丸太展示品評会表彰式
県産ヒノキのスプーンづくり
県産木材を使った木(き)んぎょすくい!
親子でくぎ打ち競争!
チェンソーアート
木造軸組工法による棟上げ
もち投げ
県産原木しいたけ試食・販売
「森・川・海はひとつ」パネル展
~森川海人っプロジェクト~
みどりの少年団体験活動 ~どんぐり苗木づくり~
緑の少年団活動発表会
木工工作コンクール受賞作品展示
建築設計競技受賞作品展示
 
どんぐりくん(左)&モクリン(右)
 

第33回「佐賀県児童・生徒木工工作コンクール」入賞作品決定

10月28日(土)、佐賀市のアバンセにおいて、第33回「佐賀県児童・生徒木工工作コンクール」(主催:佐賀県木材青壮年会)の審査会が行われ、1000点近い応募作品の中から、入賞者が決定しました。

このコンクールは、未来を担う多くの子供たちが、今の子供ならではの発想力から、昔の子供が思いつかなかった新しい物を作って欲しいという思いと、木工工作を通じて、感受性や創造性に富んだ社会人に成長してくれることを願い、「触れて、創って、知る ウッドコレクション」をテーマに開催されました。

なお、入賞作品については、11月5日(日)に、佐賀市のどん3の森ふれあい広場で開催する「よかウッドフェスタ」において、表彰式を執り行います。

平成28年度「さがの木の住まいコンクール」の表彰式が行われました

6月9日(金)、佐賀市本庄町の佐賀県森林会館において平成28年度「さがの木の住まいコンクール」(主催:佐賀県)の表彰式が行われました。

このコンクールは、佐賀県産木材をふんだんに使用し、「木の心地よさ」や「かっこよさ」をアピールできる魅力的なデザインの「さがの木の住まい」を募集し、木造住宅コンクールを開催することにより、その優れた事例を広く県民の皆さまにご紹介し、県産木材の利用の意識や木造建築への関心、理解を深め、佐賀県産木材のイメージアップを図る目的で開催しており、今回で2回目となります。

今回は、38点(22社)からの応募があり、栄えある最優秀賞(佐賀県知事賞)には佐賀市の株式会社 坂井建設が受賞されました。

その他の受賞者は下記のとおりです。

  • 優秀賞(一般社団法人佐賀県木材協会長賞):岩忠建設 株式会社
  • 優秀賞(一般社団法人佐賀県木材協会長賞):株式会社 田久保建設
  • 佐賀新聞社賞:野中建設
  • サガテレビ賞:株式会社 中村建築

受賞者のみなさま、おめでとうございます。

 

CM動画(各15秒)

最優秀賞(株式会社 坂井建設)

 

優秀賞(岩忠建設 株式会社 / 株式会社 田久保建設)

 

「さがつく木のインテリアデザイン創出事業」リノベーション物件完成

県では、著名なデザイナーのデザイン力を活用して、商業スペースや公共施設等を「木のインテリア(家具を含めた内装空間)」によりリノベーションを行い、県産木材の付加価値向上を図る「さがつく木のインテリアデザイン創出事業」を実施いたしました。
つきましては、当事業によりリノベーションを行った物件を、御紹介致します。

[ KOWA CONSTRUCTION ]

Before

 

デザインコンセプト:KOWA LOUNGE
事業推進に貢献するオフィスの象徴空間

オフィスの中心的となる場所を、
来客だけでなくスタッフもゆったりと
落ち着ける
ラウンジとしてリノベーション。

レセプションやキッズスペース、
ライブラリといった複合的な機能を持ち合わせ

打合せや商談にも使える空間に。
ぬくもりを感じられる県産木材によってつくられたこの空間は、
居心地の良い企業ブランディングスペースとなる。

After

- デザイン監修/OpenA 馬場正尊 -
- 設計・監理/OpenA 大橋一隆 -
- 施工/株式会社孝和建設一級建築事務所 -
- 建設地/佐賀県唐津市原1471-1 -

[ MITSUSE CUBE ]

Before

デザインコンセプト:MITSUSE CUBE
[完成した空間]ではなく、作り方・関わり方をデザインする

プロに学びながらの作業はもちろん、
材料発注や業者打合せ等できることは

できるだけ施主であるムラークの皆さんに
関わっていただきました。

SNSでの状況公開や、
工事中の現場での地域イベント、
他の団体との
作業交流など、
多くの人が関わる機会を設け、
工事そのものが

地域との交流の場ともなりました。
(実は未完成で、工事はこれからも続きます。)

After

 

- デザイン監修/OpenA 馬場正尊 -
- 設計・監理/スムコト設計 満原早苗 -
- 施工/岡住建・NPO法人Murark -
- 建設地/佐賀県佐賀市三瀬村三瀬2769-1 -

[ SAGA Prefectural Office ]

Before

デザインコンセプト:EN・えん

焼き物やバルーン、みかんや玉ねぎ、
丸ぼうろなど、
佐賀の
土地にはたくさんの円が存在しています。
この部屋は、県庁への
来訪者や県庁職員が
ミーティングや待ち合わせなどに使うことで、

たくさんの『縁』が生まれる場所です。
Sの形をしたルーバーや、
何人でも対等に座ることができる
3つの
大きさのテーブルなど、
ほとんどの部分に曲線を使い、
壁や天井に
木材を張ることなく
木質化された空間をデザインしました。

佐賀の空気で育った木と、佐賀の文化と、
佐賀の技術が
「EN・えん」という
空間全体を構成しています。

After

 

- デザイン監修/OpenA 馬場正尊 -
- 設計・監理/川﨑建築都市研究所 川崎康広 -
- 施工・家具製作/諸富家具振興協同組合、レグナテック株式会社 -
- 建設地/佐賀県佐賀市城内1丁目1-59本館1階 -

[ SAGA Prefectural Office ]

Before

デザインコンセプト:TSUM・つむ

佐賀の産業を支えた登り窯や反射炉には
レンガが使われ、

日本最初の建築家と呼ばれる佐賀出身の
辰野金吾もレンガという
素材を
多用しています。

この部屋は、
佐賀から世界へ発信された文化の蓄積を、
先人から
受け継いだ佐賀の山林で
生産された木材を使って表現しています。

3つの大きさのスペースを区切るパーテーション
は、一定の隙間を
設けた木材のレンガ積み
とすることで、
各部屋のほどよい領域を
創ると共に、
高階層の気持ちのいい光と風が抜けるよう

デザインしました。

After

 

- デザイン監修/OpenA 馬場正尊 -
- 設計・監理/川﨑建築都市研究所 川崎康広 -
- 施工・家具製作/福田建設株式会社 -
- 建設地/佐賀県佐賀市城内1丁目1-59新行政棟10階 -

 

佐賀県産木材を使った、木の香りただよう素敵なモデルルームが出来上がりました。
リノベーション物件については、モデルルームとしても活用されますので、
皆様の御来場をお待ちしています。

駅東自治会公民館に塚原会長を訪ねる

 駅東自治会公民館は木造平屋建である。大壁仕様で柱は見えない。壁はクロス張りで床はナラの合板のフローリングである。


 壁の中の隠れて見えない構造材は全て唐津から供給された樹齢43〜45年の杉や檜材が使われた。
 一口に木造建築といっても真壁仕様は現在では稀有である。真壁は日本の伝統建築に多用されいわゆる「和風」と言われるものである。
 ところが戦後、日本人の住環境は一気に西洋化が進む。
それはライフスタイルを変化させ洋室化がトレンドになっていった。それは空間が大壁仕様に変わっていくことを意味している。


 柱は意匠性を失い、かつての様に角材の大きさや黒檀、紫檀など床柱の樹種を競うこともなくなった。床柱といえば、有名な北山杉の需要も激減したと聞く。最近の家の中から書院が消えたからだ。畳部屋も減った。それゆえ畳表の生産も減り,い草の産地も厳しい状況にある。コスト競争の果てに大半は中国から輸入されているという。


 生活様式の変化は一つ一つの使用部材まで多大な影響を与える。
 私事ではあるが先頃、10年間住み慣れた上峰から鳥栖へと居を移した。
 上峰の借家は和洋折衷のいわば現代風和風住宅だった。一階には畳の部屋が三つあって
 すべて真壁仕様だった。一階のリビングと二階の3室はフローリングを伏せた大壁仕様の洋間であった。
 合わせて6LDKで考えてみればワイドな住環境に暮らしていたものである。
 ところが鳥栖のマンションは3LDK。生活はワイドからコンパクトへ180度の大転換である。
 3LDKのマンションは6畳の畳部屋が一室とフローリング貼りの洋室が二部屋と12畳程度のリビングだが壁の仕様は全て大壁である。
また木と「思しきもの」は床と幅木そして建具と建具枠くらいである。何故「思しきもの」かと言えば、すべて偽木だからである。
 考えてみればこの公民館で目にした床もそれであった。
県産木材の利用推進の意味からフローリングにも無垢の杉を使って欲しかった。
 いや、使うべきだった。その時地産地消に意味が生まれる。郷土愛である。
 「三尺下がって師の影を踏まず」という奥ゆかしさも日本人の琴線に触れる美意識だが佐賀県内の公共施設の床をすべて県産杉のフローリングを貼り詰めるくらいの大それた夢を見たい。
 確かにコスト優先は避けがたい。
 しかし私にはそれにも増して優先されるべきものがあると思えるのだが。
 かつて床柱の樹種を競った時代にあった贅やゆとりといった言語は現代ではほとんど意味を持たなくなったようである。
 そんな時代ではないということなのだろうか。
 「ウザイ」とゆとり世代の嘲笑が聞こえる。
 最後にお忙しい中、取材を受け入れていただいた塚原会長に深く感謝申し上げます。

~最終章完結~関光放浪記第6章より

家具産地諸富に学童机椅子の変遷をたずねる

 民主党政権の時代に国は公共施設の木造・木質化目標を掲げた。
 自治体は挙って林業の再生に向けて懸命になったが、その結果は決して一律ではなかった。これまで県内の多くの公共空間を見てきたがその感は否めない。
 そんな中で佐賀市の公共空間の木造・木質化の取り組みは県内では群を抜いている。
 市産杉を使った木製の学童机・椅子の普及も同様に進んでいる。
 この普及率の向上は子供たちに対する情緒的な好影響をはじめ、森林の荒廃を防ぐ一助にもなる。地産地消にもなる。
 特に学童机・椅子の開発に関しては国の目標を達成すべく佐賀市教育委員会をはじめ諸富家具振興協同組合など関わった部署は実におおくの時間と試行錯誤を重ねた。杉は元来柔らかく傷つきやすい。つまり耐久性が低いのだ。ふと一昨年訪れた、福島県の郡山市の国指定の重要文化財である旧安積高校の硬いナラ材を使った机と椅子を思い出す。
 この「柔らかい」を解決するために圧密加工や構造の簡略化など度々試作を重ねた。
 しかも床に傷がつかないようにまた音がしないように脚の下にはフェルトを付けた。
 しかし、たびたび動かされることによって剥がれた。
 すると脚部の一部に彫り込みを入れそこにフェルトを貼った。
 今後はより抵抗を防ぐためにフェルトの形状を円形にするとメーカーさんの話である。
 中々、一筋縄ではいかない。
 「あっちがたてばこっちが立たない」
 逃れることができないプリミティブな難題である。
 つくづく商品開発は難しい。
 杉の「柔らかい」を解決するためだけでもこんなに苦労する訳である。
 他に考えられる課題は強度や重量、コストなど解決は複層的で困難が予想される。
 もとより開発には一つでも多くの意見を反映することが求められる。
100人、いれば100通りの意見がある。「柔らかい」ということを短所とするのもその中の一つであった。一方には、「柔らかい」は素晴らしいという意見もある。


 材料の供給から製作に至るまで多くの人たちの協力によって生まれた諸富製の木製の学童机・椅子が最初に導入されたのは今から10年前の平成19年度に佐賀市立小中一貫校北山校であった。爾来、今日までおよそ3000セットが導入された。そして、諸富家具振興協同組合に問い合わせたところ細部は多少異なるものの現在、生産されているのは概ね写真のものである。なかなかシンプルでモダンである。
 これがこの時代を反映した学童机と椅子である。

関光放浪記第5章より

黒田木材商事株式会社に白濱creative directorを訪ねる

 かつての富士大和森林組合の製材所は現在黒田木材商事株式会社が製材事業およびチップ製造事業を展開している。
 従来の森林組合は木の伐採事業が主で、木材流通販売の内の僅かな機能しか持っていなかったしニーズの動向には疎かった。また、林業が盛んな時代では、それで何一つ問題はなかったわけである。然し、材価低落の事態を受け、森林を頂点にしたあらゆる川下の産業が疲弊崩壊するにいたってその存在理由或いは価値が加速度的に崩落していった。
 平成28年5月富士大和森林組合の製材所は黒田木材商事に譲渡された。
 ニーズの多様化に対応できなくなっていた製材機も一新して競争力のあるものに変えた。
 それを白濱さんはstrike zoneの絞り込みと言った。
 流行しやがて無目的化していった多目的ホールの誤謬(ごびゅう)を思い出す。
 多目的には「どっちつかず」で「中途半端」という弱点がある。
行政にとって公益性は最重点課題である。つまり広く浅くが旨であり、それ故にstrike zoneは限りなく広くなる。悩ましいパラドキシカルな命題であるが、行政の陥りやすい難題である。
 投網漁のようなものである。何でも獲れる代わりに本当に欲しいものはその中の僅かな量を占めるに終わる。何処も満足は得られない。
 ところが今のマーチャンダイジングではstrike zoneを狭め、より精緻(せいち)なコントロールが求められている。それには多くの経験や知的集積が欠かせない。勇気もいる。
その上で、それらの知的集積を普通に使いこなす。何も難しくはなさそうである。
 しかし、今ではその普通が困難な場合が多い。白濱さんの言辞は何も特別ではなく当たり前のことを普段通りにすることの重要性を説いている。市場の変化にflexibleに対応する。とはいえそれは迎合ではなく独自の哲学を背景に筋の通った戦略である。同時に地域密着と適材適所を基本にした戦略でなければならない。
元来、組織には「紺屋の白袴」というか狭小な呪縛に支配されやすい体質がある。
自身の姿を見失う。
故に客観的に外から見た目が正しい場合が多い。
 
 さて、黒田木材商事に譲渡された旧製材所に新しくプレカット工場が建てられている。


 それはATAハイブリッド構法という新しい木造建
築の構法で建てられている。この構法は昨年紹介した石橋建築事務所のBP(Binding Pilling)構法のように継手の代わりに鉄板を使いボルトで結合するというものとは明らかに異なる。
 この構法の開発者はライト兄弟が世界で初めて空を飛んだライトフライヤー号の翼の構造からヒントを得たと聞いた。
セールポイントには「同工法は木の良さを生かしながら、木の弱いところを金属で補う高性能トラス&張弦梁です。

一般流通材のみで 33mの大スパンを可能とする画期的な工法であり、保育園、クリニック、高齢者施設等は勿論のこと、コストが高い大断面集成材でないと対応が難しかった、スーパー・工場・倉庫・作業所・店舗・牛豚舎等の対応も可能となり、木造の可能性が大きく広がりました。」とある。
 私見を挟めば「緊張感のある色気のある構造」に見えた。何故「緊張感」を感じたかは
あまりにも華奢な感じがしたからだろう。
「空気より重いものが飛ぶはずはない」と言われていた時代、ライトフライヤー号の主翼の構造も等しく華奢である。
だが、そのフォルムは美しい。


 この構法の普及は木の可能性を広げ、ひいては木材の利用推進に繋がりそうな予感がする。
林業が面白くなりそうだ。

最後に長時間、取材に応じていただいた白濱creative directorに心より感謝申し上げます。

関光放浪記第4章より