現場レポート:SAGA伐木チャンピオンシップ2021

現場レポート:SAGA伐木チャンピオンシップ2021

こんにちは! 林業女子会@さがの鵜飼優子です。
今回は「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」の様子をレポートします。
「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」は県内で林業に従事する皆さんが技術を競い合い高めていくとともに、普段はなかなか見ることのできない林業技術の面白さを伝えていくための林業技術大会です。

佐賀県では、これまで過去8回にわたり、「佐賀県きこり選手権」として2010年から、大会を実施してきました。2021年は今までの形式から国際大会の競技基準に合わせてリニューアルされた記念すべき1回目の大会です。次回は2023年に開催予定です。

ところで、皆さん、伐木って言葉聞いたことありますか? 読み方は「ばつぼく」と読みます。漢字を見ると、なんとなく木に関係あるなとか、伐採の伐だなと思いつくかもしれませんが、私は、初めて聞いたときに聞きなじみがなさすぎて、「ばつぼく」を「だつぼく」と勘違いしていました。

それくらい「伐木」という言葉は、生活の中で聞いたことのない言葉でした。でも、この大会を見学していくうちに、林業に携わる皆さんの技術の高さや熱を感じ、すっかり夢中になりました。

「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」は、木こり、すなわち林業に携わる方々の熱いイベントなのです!早速当日の様子をレポートしていきたいと思います。

この大会では、具体的に何をするかと言うと林業に欠かせないチェーンソーの技術を競います。種目は全部で4種類。

 

①伐倒(ばっとう)

②接地丸太輪切り

③丸太輪切り

④枝払い

 

すべての競技は、日本伐木チャンピオンシップ(通称JLC)と同じ採点基準で行われます。採点のポイントは、短い時間で、安全に、正確に、そして、木へのダメージをいかに少なくしていくかなどです。その総合ポイントで順位を競います。

今回の開催場所は、たくさんの人に見てもらえるようにと、佐賀市内の嘉瀬川河川敷で開催されました。この場所は毎年、佐賀インターナショナルバルーンフェスタにも使われています。当日は天気が良く、朝早くから大会の成功を祈るかのように青空に熱気球が飛んでいました。

会場では同時並行でいくつかの競技が開催され、次々と4種類の競技が見れるようになっています。それでは、それぞれの競技の様子と詳しいルールをお伝えしたいと思います。

 

①伐倒競技

「伐倒競技」では、山林の作業で求められる、狙った場所へ正確に伐り倒す技術と、安全作業への意識を競います。自分で定めた標柱(目印)にできるだけ接近して倒せるよう3分以内に木を伐倒します。(3分を超えると減点)
競技種目の中で最も配点が高い競技であると同時に、迫力もダントツです! 木が倒され、ド――――――ン! という大きな音が会場中に響き渡ると自然と観客からの拍手と歓声が上がります。

簡単に言うと、自分が定めた目印の赤い棒をめがけて、木を倒す競技です。
林業では木を倒すときの事故も多いそうで、正確な伐倒技術はかなり重要なポイントです!
中には、的ぴったりをめがけて赤い杭を倒しているスゴイ方もおられ、観客からは思わず、おお! と歓声と拍手。

 

接地丸太輪切り競技

現場では接地面が見えない状態で丸太を輪切りにすることがあります。そんな時に試されるのが、チェーンソーを自在に使いこなす感覚を身に付けているかどうかです。

地面に接地している丸太を上から垂直に30~80mmの厚さに切り出します。そして、その角度と切り残しの厚さを競います。競技の中では2本の丸太を連続で輪切りにします。

丸太が接地面の表面とどこで接しているか分からないように接地面の上は3センチのおが屑で覆われています。競技のたびに審査員の皆さんが、サッとまたおが屑を準備する姿に、審査員、参加者一体となって大会を盛り上げている熱さを感じました…!

こんな感じでぎりぎりまで切るので、体勢をかがめて慎重に最後まで切ります。
1本目が切り終わったら、次の木に移動。安全面も大切なので、移動の時は、チェーンソーのブレーキをかけ、2本目も慎重に切っていきます。

審査員のまなざしも真剣。会場がごくりと息をのむような緊張感のある競技でした。接地面ぎりぎりの技術がぱっと見はわかりにくいのですが、とても技術のいる競技だなと感じました。

 

丸太合わせ輪切り競技

山という傾斜地を想定した競技で、林業用語でいうと「合わせ伐り」の技術を競います。
チェーンソーの角度を巧みに変え、地面から7°に傾いた丸太を、上下から伐り出し、垂直に切る技術が試されます。上下の合わさった部分の段差と角度が審査の対象になっています。また、丸太に赤く塗られたラインの中で上下を合わせることも必須要件です! 伐る順序は下側から半分、残りを上側からと決まっています。

まずこの競技を見て思ったのが「わたしにはできひん」でした。(笑) これは技術的なことはもちろんなんですが、「下から切って、さらに上から切って合わせていく」わたしだったら、上からズバッと切るだけで精いっぱいだろうなと…。

先輩にどうして上下で合わせ伐りするのかを尋ねると、丸太を伐る際に、上からいっぺんに伐ろうとすると丸太の下部が、切断された部分の重みに耐えきれずビリっとやぶれるようにいびつに割れてしまうため、木材としての価値を高めるために必要な伐り方だと教えてくれました。わたしたちの知らないところで細やかな技術が使われているのだと勉強になりました…!

これはパーフェクトに近い断面。四方に書かれているのが実際の断面の角度です。垂直、つまりは90度に近いほど高得点です。すごすぎる、チェーンソーマンたち!

 

枝払い競技

スピーディーに枝を払って(切り落として)いく競技です。枝を切り残さず、かつ、丸太を傷つけない正確性も求められます。競技用の6mの丸太には、まっすぐに差し込まれた30本の枝がついています。どの選手も共通のパターンで枝払いを競います。
枝払いの跡が5mm以上残ったり、丸太に深さ5mm以上または長さ35cm以上の傷がつくと減点の対象となり、急げば急ぐほどミスが多くなる為、枝を正確に払うことが重要です。

この競技は、見ていてとても迫力がありました。競技用の木も重量があり、審査員の方5、6人で運ばれているのも印象的でした。

 

以上で4つの競技の紹介はおしまいです。4つの競技それぞれに面白さや新しい発見、工夫があり見ごたえ抜群でした。普段は見ることのできない林業の高い技術を見ることができ、観客の皆さんも楽しそうでした。

当日は、ご家族で来られたお客さんたちも楽しめるよう、イベントスペースも併設されていたのですが、こちらも大盛り上がり。木のスプーンやイスを作る木工体験コーナーや、佐賀の苗木の配布、テントサウナ、コーヒーやレモネード、カレーなどの飲食ブース、キャンピングカーの展示などもありましたよ!

わたしも林業女子会の先輩と一緒に、マキタさんのブースで丸太の輪切りに挑戦してきました(笑)。電動チェンソーでぴったり45~55gの輪切りを切れるかを試すコーナーで、一緒にチャレンジしたわれらが林業女子会@さが代表の門脇はなんとぴったり賞。さすがです! わたしもチャレンジしましたが……、薄すぎました。25gくらい(笑)。チェンソーを扱ったのは初めてだったので、いい経験になりました。

木工体験コーナーでもイスやスプーンを作りたかったのですが、大人気で午後には閉店していました。佐賀県おなじみの森川海人くんも遊びにきていましたよ!

そして最後は、表彰式と記念撮影を見守り大会は終了。今回、「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」を見学したことで、林業が身近になりました。また、安全かつ正確で、早い選手の皆さんの技術の高さを感じ、チェーンソーマンたちが眩しくて、かっこよかったです。実は、わたしも佐賀のお山に住んでいるのですが、まだまだ林業は身近ではなく、林業女子会@さがには参加していても知らないことだらけ。
今回、門脇会長からチェーンソー技術のすごさや競うポイントなどを教わり、林業って奥が深いと思いました。

この伐木チャンピオンシップのおかげで林業が身近になった気がします。家族連れの方もたくさんいらっしゃったので、子どもたちも林業のすごさを肌で感じたのではないでしょうか。

この大会を通して、皆さんの身近にある山や森の未来を守る林業関係の皆さんたちのことを、たくさんの人に知ってもらえたら嬉しいなと思いました。

 

すてきなイベントをありがとうございました!