現場レポート:次世代スギ精英樹「サガンスギ」(コンテナ苗植栽)研修

2022年3月16日

研修会の様子

林業女子会@さがの門脇恵(かどわきめぐみ)です。
今回は今話題の次世代スギ精英樹「サガンスギ」のコンテナ苗植栽研修のレポートをお届けします。

「サガンスギ」は佐賀県の林業試験場で50年以上かけて開発し、2021年に品種登録された次世代スギ精英樹を代表とした、4つのスギの品種です。
何がすごいのかというと、まず1番に収穫サイクルの早さです!これまでの林業の収穫サイクルは約50年でしたが、「サガンスギ」は約30年で収穫することができます。しかも、成長が早いだけでなく、木材強度も高く、花粉も少ない!と三拍子そろっているのが「サガンスギ」の良いところです。これは試験研究として植栽され、30年生以上に育ったサガンスギが現存し、植栽から収穫期までの成長過程や木材としての強度が実証されているからこそ力強く言えることです。
今回はそんな「サガンスギ」のコンテナ苗植栽の様子とともに、その魅力を紹介したいと思います。

「サガンスギ」のコンテナ苗

この日は佐賀県の林業技術職員や地元市職員、林業事業体等が集まり「サガンスギ」の試験地にコンテナ苗植栽を行いました。林業の省力化として近年活用されている「コンテナ苗」。植栽のための道具もいろいろあり、杭木にステップを付けた自作のものから、数万円する専用器具まで様々です。みなさん、いろいろな器具を試されながら、植栽されていました。コンテナ苗の根鉢の部分をきれいに植えられるようどうやって穴を掘るのかがポイントです。植栽後は苗がまっすぐに立つようにすると定着しやすいそうです。

植栽のための道具

「サガンスギ」は成長が早いため、あっという間にコンテナ苗用のコンテナでは支えきれないほど大きくなるそうです。どれくらい成長が早いのかというと、通常のスギが樹高3mほどになるのに約6年かかるのに対して、「サガンスギ」は約4年で樹高3mに達します。これは下刈りという林業の作業の中でも1番きつく大変な作業の大きな省力化につながります。

下刈りはスギが大きくなるまでの間、雑草が伸びることによって、苗木に日が当たらなくなるのを防ぐため、真夏の炎天下の中、日差しを遮るものがない環境下で草を刈る作業です。植栽をしてから5年目くらいまで毎年続ける必要があります。ところが、サガンスギの場合には4年目には樹高が3mになるので、通常5回の下刈りがだいたい3回で済むそうです! 下刈り作業の省力化は育林コストの削減にもつながるため、収益率もアップします。さらに、担い手不足を抱える現場の労働コストの削減にもつながります。山主にとっても現場にとっても嬉しいことです。

植栽の様子

植栽の様子

成長の速度が早いと通常は年輪幅が広くなり、木材としては強度が劣ると言われています。しかし、この「サガンスギ」は強度試験の結果、県内で普及している一般的な「スギ」よりも強度が高いことが証明されています。「サガンスギ」は、年輪幅は広いのですが、繊維の入り方に特徴があることで、強度が高くなっていると考えられているそうです。国内で最先端の強度試験が行うことができる、国の研究施設である森林総合研究所で、30年生以上の「サガンスギ」の製材品を用いて、曲げヤング係数(たわみにくさの指標)の測定と木材強度(折れにくさの指標)の測定を行っています。

スギのように育成期間が長い樹種における新品種の開発では発表と共に、実際の木材の現物が揃うことは、ほとんどありません。実は「サガンスギ」の元になった研究は1965年、今から57年ほど前に遡ることになります。佐賀県の林業試験場では、この頃からスギの人工交配をはじめ、約10,000種の個体を試験林で育成していました。

そして、1980年頃、今から40年ほど前に、約10,000種の個体の成長調査から109の個体に絞りました。その後、調査の信頼性を確保するため、109のクローンを1クローンあたり50本程度の挿し木を増殖し、約5,000本により設定した試験林での長年の現地調査結果から、109クローンを6クローンまで絞り込んだのが2015年のことです。それで終わりではなく、さらに現代の先端技術を導入し、遺伝子解析、木材の詳細な強度試験や立地条件などを加味した成長量の評価などを行うことで、成長、木材の強度、雄花量、挿し木発根率を総合評価し、最終的に次世代スギ精英樹4クローンに絞り込み、2022年の2月から「サガンスギ」としての苗木の出荷・植樹が開始されています。4クローンの個体を残したのは、万が一、何らか要因で、同一クローンの個体の生育等が一斉に阻害されてしまうなどの状況を防ぐためだそうです。挿し木増殖によるクローン個体は全く同じ遺伝子を持つことになるので、外的要因に対してほぼ同等の影響を受けることになります。種の安定性を保ち将来のリスクを減らすことも大切なことの1つです。

植栽された「サガンスギ」

それにしても、半世紀以上にわたる長い時間をかけて「サガンスギ」の研究開発が進められてきたことに本当に驚き感動しました。佐賀県民の勤勉さと真摯さを象徴しているようです。私は関東から佐賀県へ移住したのですが、佐賀県の方と触れ合う中で、物事に対して真摯に向き合う姿勢や最後までやり遂げる力に圧巻されることが何度もありました。「サガンスギ」の研究開発もそんな佐賀県の県民性の良いところの現れだと思いました。

「サガンスギ」の研究開発を担当している林業試験場の特別研究員の江島淳さん(研究開発担当)は、この研究について、先代たちの残してくれた貴重な試験林やデータを元に、本当に価値があるのかを疑い確認する研究だと話してくださいました。本当に成長が早いのか、本当に強度が高いのか、1つ1つ調べながら分析しているそうです。こんなに古くから研究しているケースは全国的にもなかなかないことです。人工交配による品種改良は農業の分野では一般的ですが、林業の分野では、個体が大きく成長するのに時間がかかるため、技術の導入が遅れていたそうです。佐賀県でこの研究がはじまったのは佐賀県が農業大国だったからなのではないかと江島さんは考えているそうです。実際にこの研究を始めた原信義さんは、佐賀大学の農学部で農作物の育種を専攻されていた方だったそうです。

江島淳さん(佐賀県林業試験場 特別研究員)

林業試験場で普及指導にあたっている山口光洋さん(普及指導課長)と松尾淳也さん(副場長)からもお話を伺いました。

林業試験場には現在たくさんの問い合わせが届いているそうです。山口課長は、まずは佐賀県内でしっかりと苗木を生産し、普及していきたいと話してくださいました。下刈りのコストも削減され、従来は主伐までに50年かかっていたところが、「サガンスギ」の場合には30年で主伐できるそうです。また、従来であればまだ枝打ち期間である10年生のタイミングで除間伐を行うことも可能です。将来性も高く、期待が大きいからこそ、しっかりと普及していきたいと心強い声をいただきました。

松尾副場長は、「サガンスギ」が林業の新たな意欲につながって欲しいと考えているそうです。多様な森づくりの1つの選択肢として、これから樹を植えるときに「サガンスギ」を選んでもらえるようにできたらと話します。建築や木材関係の方たちからはやはり木材の品質のことを聞かれるそうです。今までのスギより強度が高いことを試験の結果を見てもらいながらしっかりと説明し、実物の木材を見てもらうことで納得してもらえることは大きなことです。「サガンスギ」というブランドが1つ完成し、いつかエンドユーザーから「サガンスギ」の木材で家を建てたいと言ってもらえるようになったら嬉しいと話します。

山口光洋さん(佐賀県林業試験場 普及指導課長)

松尾淳也さん(佐賀県林業試験場 副場長)

成長が早く、木材強度が高く、花粉が少ない! 結果として、収益が見込め、林業の省力化も図られる。そして、主伐から再造林(新たに植栽し樹を育てること)の流れができることによって、森林資源の循環が進む。「サガンスギ」はこれからの林業界に新たな新風を巻き起こしそうです。私もいつか、自分の山を持って「サガンスギ」を植栽したいと思いました。これからの「サガンスギ」の成長に益々目が離せません。

お話を聞かせてくださった皆様、本日はありがとうございました。

現場レポート:SAGA伐木チャンピオンシップ2021

現場レポート:SAGA伐木チャンピオンシップ2021

こんにちは! 林業女子会@さがの鵜飼優子です。
今回は「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」の様子をレポートします。
「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」は県内で林業に従事する皆さんが技術を競い合い高めていくとともに、普段はなかなか見ることのできない林業技術の面白さを伝えていくための林業技術大会です。

佐賀県では、これまで過去8回にわたり、「佐賀県きこり選手権」として2010年から、大会を実施してきました。2021年は今までの形式から国際大会の競技基準に合わせてリニューアルされた記念すべき1回目の大会です。次回は2023年に開催予定です。

ところで、皆さん、伐木って言葉聞いたことありますか? 読み方は「ばつぼく」と読みます。漢字を見ると、なんとなく木に関係あるなとか、伐採の伐だなと思いつくかもしれませんが、私は、初めて聞いたときに聞きなじみがなさすぎて、「ばつぼく」を「だつぼく」と勘違いしていました。

それくらい「伐木」という言葉は、生活の中で聞いたことのない言葉でした。でも、この大会を見学していくうちに、林業に携わる皆さんの技術の高さや熱を感じ、すっかり夢中になりました。

「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」は、木こり、すなわち林業に携わる方々の熱いイベントなのです!早速当日の様子をレポートしていきたいと思います。

この大会では、具体的に何をするかと言うと林業に欠かせないチェーンソーの技術を競います。種目は全部で4種類。

 

①伐倒(ばっとう)

②接地丸太輪切り

③丸太輪切り

④枝払い

 

すべての競技は、日本伐木チャンピオンシップ(通称JLC)と同じ採点基準で行われます。採点のポイントは、短い時間で、安全に、正確に、そして、木へのダメージをいかに少なくしていくかなどです。その総合ポイントで順位を競います。

今回の開催場所は、たくさんの人に見てもらえるようにと、佐賀市内の嘉瀬川河川敷で開催されました。この場所は毎年、佐賀インターナショナルバルーンフェスタにも使われています。当日は天気が良く、朝早くから大会の成功を祈るかのように青空に熱気球が飛んでいました。

会場では同時並行でいくつかの競技が開催され、次々と4種類の競技が見れるようになっています。それでは、それぞれの競技の様子と詳しいルールをお伝えしたいと思います。

 

①伐倒競技

「伐倒競技」では、山林の作業で求められる、狙った場所へ正確に伐り倒す技術と、安全作業への意識を競います。自分で定めた標柱(目印)にできるだけ接近して倒せるよう3分以内に木を伐倒します。(3分を超えると減点)
競技種目の中で最も配点が高い競技であると同時に、迫力もダントツです! 木が倒され、ド――――――ン! という大きな音が会場中に響き渡ると自然と観客からの拍手と歓声が上がります。

簡単に言うと、自分が定めた目印の赤い棒をめがけて、木を倒す競技です。
林業では木を倒すときの事故も多いそうで、正確な伐倒技術はかなり重要なポイントです!
中には、的ぴったりをめがけて赤い杭を倒しているスゴイ方もおられ、観客からは思わず、おお! と歓声と拍手。

 

接地丸太輪切り競技

現場では接地面が見えない状態で丸太を輪切りにすることがあります。そんな時に試されるのが、チェーンソーを自在に使いこなす感覚を身に付けているかどうかです。

地面に接地している丸太を上から垂直に30~80mmの厚さに切り出します。そして、その角度と切り残しの厚さを競います。競技の中では2本の丸太を連続で輪切りにします。

丸太が接地面の表面とどこで接しているか分からないように接地面の上は3センチのおが屑で覆われています。競技のたびに審査員の皆さんが、サッとまたおが屑を準備する姿に、審査員、参加者一体となって大会を盛り上げている熱さを感じました…!

こんな感じでぎりぎりまで切るので、体勢をかがめて慎重に最後まで切ります。
1本目が切り終わったら、次の木に移動。安全面も大切なので、移動の時は、チェーンソーのブレーキをかけ、2本目も慎重に切っていきます。

審査員のまなざしも真剣。会場がごくりと息をのむような緊張感のある競技でした。接地面ぎりぎりの技術がぱっと見はわかりにくいのですが、とても技術のいる競技だなと感じました。

 

丸太合わせ輪切り競技

山という傾斜地を想定した競技で、林業用語でいうと「合わせ伐り」の技術を競います。
チェーンソーの角度を巧みに変え、地面から7°に傾いた丸太を、上下から伐り出し、垂直に切る技術が試されます。上下の合わさった部分の段差と角度が審査の対象になっています。また、丸太に赤く塗られたラインの中で上下を合わせることも必須要件です! 伐る順序は下側から半分、残りを上側からと決まっています。

まずこの競技を見て思ったのが「わたしにはできひん」でした。(笑) これは技術的なことはもちろんなんですが、「下から切って、さらに上から切って合わせていく」わたしだったら、上からズバッと切るだけで精いっぱいだろうなと…。

先輩にどうして上下で合わせ伐りするのかを尋ねると、丸太を伐る際に、上からいっぺんに伐ろうとすると丸太の下部が、切断された部分の重みに耐えきれずビリっとやぶれるようにいびつに割れてしまうため、木材としての価値を高めるために必要な伐り方だと教えてくれました。わたしたちの知らないところで細やかな技術が使われているのだと勉強になりました…!

これはパーフェクトに近い断面。四方に書かれているのが実際の断面の角度です。垂直、つまりは90度に近いほど高得点です。すごすぎる、チェーンソーマンたち!

 

枝払い競技

スピーディーに枝を払って(切り落として)いく競技です。枝を切り残さず、かつ、丸太を傷つけない正確性も求められます。競技用の6mの丸太には、まっすぐに差し込まれた30本の枝がついています。どの選手も共通のパターンで枝払いを競います。
枝払いの跡が5mm以上残ったり、丸太に深さ5mm以上または長さ35cm以上の傷がつくと減点の対象となり、急げば急ぐほどミスが多くなる為、枝を正確に払うことが重要です。

この競技は、見ていてとても迫力がありました。競技用の木も重量があり、審査員の方5、6人で運ばれているのも印象的でした。

 

以上で4つの競技の紹介はおしまいです。4つの競技それぞれに面白さや新しい発見、工夫があり見ごたえ抜群でした。普段は見ることのできない林業の高い技術を見ることができ、観客の皆さんも楽しそうでした。

当日は、ご家族で来られたお客さんたちも楽しめるよう、イベントスペースも併設されていたのですが、こちらも大盛り上がり。木のスプーンやイスを作る木工体験コーナーや、佐賀の苗木の配布、テントサウナ、コーヒーやレモネード、カレーなどの飲食ブース、キャンピングカーの展示などもありましたよ!

わたしも林業女子会の先輩と一緒に、マキタさんのブースで丸太の輪切りに挑戦してきました(笑)。電動チェンソーでぴったり45~55gの輪切りを切れるかを試すコーナーで、一緒にチャレンジしたわれらが林業女子会@さが代表の門脇はなんとぴったり賞。さすがです! わたしもチャレンジしましたが……、薄すぎました。25gくらい(笑)。チェンソーを扱ったのは初めてだったので、いい経験になりました。

木工体験コーナーでもイスやスプーンを作りたかったのですが、大人気で午後には閉店していました。佐賀県おなじみの森川海人くんも遊びにきていましたよ!

そして最後は、表彰式と記念撮影を見守り大会は終了。今回、「SAGA伐木チャンピオンシップ2021」を見学したことで、林業が身近になりました。また、安全かつ正確で、早い選手の皆さんの技術の高さを感じ、チェーンソーマンたちが眩しくて、かっこよかったです。実は、わたしも佐賀のお山に住んでいるのですが、まだまだ林業は身近ではなく、林業女子会@さがには参加していても知らないことだらけ。
今回、門脇会長からチェーンソー技術のすごさや競うポイントなどを教わり、林業って奥が深いと思いました。

この伐木チャンピオンシップのおかげで林業が身近になった気がします。家族連れの方もたくさんいらっしゃったので、子どもたちも林業のすごさを肌で感じたのではないでしょうか。

この大会を通して、皆さんの身近にある山や森の未来を守る林業関係の皆さんたちのことを、たくさんの人に知ってもらえたら嬉しいなと思いました。

 

すてきなイベントをありがとうございました!

 

 

 

 

現場レポート:東部林業株式会社 間伐現場の視察

2021年3月24日

林業の作業現場ってどんなの?山の仕事に関わっていない人にとっては未知の世界ですよね。
今回は、なかなか足を踏み入れることのできない山の間伐作業の現場にお邪魔する機会をいただいたので、レポートしたいと思います。担当は林業女子会@さがの堀智子です。

今回視察にお邪魔させていただいたのは、東部林業株式会社さんの現場です。代表の栗原大次郎さんの案内で佐賀と福岡の県境付近の現場へ。標高750mほどの現場につくと、早速遠くから重機の音が・・・。
作業道に敷き詰められた杉葉を踏みしめながら進むと、その先の木々の間に重機が2~3台見えます。聞くと今日の現場には5台もの高性能林業機械が揃っているとか。5台もの機械を一度に見られるなんて!と、初めての経験に林業女子会メンバーは思わずテンションがあがります。(総額1億円を超す代物たちであるという事実に、違った意味でもドキドキしましたが。)
今、栗原さん達が手掛けている作業は、作業道づくり、間伐、造材、集積、出荷作業の部分だそうです。現場は植樹して約40年の国有林およそ40ヘクタールの広さで、4ヶ月間かけて作業をしていくそう。

最初に見せていただいたのは、木を伐りだす為に車や重機が入る作業道(路網:“ろもう”)を作っている現場でした。
そこで動いていたのは「フェラーバンチャザウルスロボ」と呼ばれる林業機械。
“ザウルス”…まさに恐竜が進むがごとく、山に最初に分け入って道を通っていく力強い機械でした。木を伐る、握って移動させる、地面を掘る、固める等、1台で何役もこなす機能を持っています。実際に動いている姿を見て、その万能さと迫力に参加者からも思わず、「おお~っ‼」と感嘆の声が。やはり機械のパワーって凄まじいです。
作業道は、ただ道幅に木をなぎ倒すだけでなく、長く使える道として土砂が流れ出ないように配慮して作られているそうです。
①伐った切り株を道の両側に並べて路肩を固める。
②埋土種子を活用し、斜面に草木を生やすため、表層の土を路肩へ移動させる。
③残った土は深い層の土と天地返しを行い、十分に敷き固める。
④雨で路面が侵食されるのを防ぐため、路面に枝葉を敷き詰める。
このような手間がかかる作業道ですが、大切な工程であるため作業班の方も丁寧に作業されていました。

運転手の方に話を聞いていると、足場の悪い山林では、機械が転倒する危険性と常に隣り合わせとか。 しかし、「怖がっていては上手にならないので、機械が傾くことも経験しつつ、バランス感覚を掴んでいくしかない」と話してくださいました。山の仕事の大変さとともに、職員さんのタフさも伝わってきました。

続いて見せていただいたのは、「ハーベスタ」という機械です。立っている木を伐る→掴んだまま枝を払う→指定の長さに切る→集積するという一連の作業を一台で行える、こちらも優れもの。
運転席は個室化されており、計器やバックモニター、冷暖房機能等がついていました。個室と冷暖房…これは夏冬の作業時の快適さが違ってきそうです。

バリバリと音をたてながら、すごい勢いで枝が払われていきます。人力だと何分もかかるであろう作業が、ものの数十秒で…。
その迫力に、思わずみんなの口から「おおおお~!」という声が漏れます。

枝を払った木は、この時点で、木材としての状態の良し悪しを判断され、分類して積み重ねられます。
また、この現場では列状に間伐を行う「列状間伐」が行われており、3列残して1列伐る「3残1伐」という間隔で木が伐られていました。
間伐後、明るくなった森に残った木々は、また数年かけて大きく育ってくれるはずです。

次に、「ハーベスタ」では入り込めないような急な斜面の現場で「スイングヤーダ」という機械が活躍していました。
「スイングヤーダ」にはウィンチがついており、狭く急斜面な場所にある木を引っ張り出すのが得意みたいです。 機械の操作とウィンチの先で作業をする人と、2人1組で作業されていました。
作業道から離れた場所から、ズルズルと木が引っ張り出されていく様子を見つつ、作業班の方の息の合った仕事ぶりにまたまた圧倒される女子会メンバーです。

今回、「神聖な林業の仕事場にお邪魔しているのだから、気を引き締めないと!」と思って臨んだ現場視察でした。 が、林業機械の威力と人の合わせ技を見る度に、思わず心が躍るというか、おお~!と声をあげてしまう自分がいました。
間近で動く機械たちと、それを手足のようにスムーズに動かし、どんどん作業を進めていく作業班の方々の姿がものすごく輝いて見えるんです!みんな羨望の眼差しを向けずにはいられません。

はっきり言って…「カッコイイ!」
そう。その一言につきます!
この現場を見た人は漏れなく「山仕事ってスケールが大きくて、誇らしくて、カッコイイ!」となるのでは?と思ってしまうほどでした。いろんな方にこの知られざる魅力をシェアしないと!そして山の仕事を目指す人が増えてくれるといいのに!…そんな気持ちが沸き起こりました。

それにしても、間伐されていく山林を見ていると、キレイに揃って植えられている様子がよく分かります。伐り出しは機械の力が使われるようになった現在ですが、40年前にこの木々を植えたのは人力。この急傾斜地で、苗木を抱えて上り下りを繰り返し植えた人々がいると思うと、その人力の凄さにも驚かされます。
そして、話を聞き進めていると、なんと代表の栗原さんはこの現場を植林したご本人とか!!
当時はまだ林業の道に入ったばかりの20代だったそう。

40年経って育った木を、植えた方が次の世代の方とともに伐り出す作業をされている様子に、思わず感慨深くなった瞬間でした。

感動しきりの現場視察、最後に「フォワーダ」が登場です!切り揃えられた木材をトラック等に積み込む役割で使われます。
最上部にある座席は前後左右に旋回し、木を掴む部分も自由自在、まさに人の手のようでした。
そして、なんと女子会メンバーも運転席に座らせていただけることに!作業班の方がいつも見ている、地上からとは違う景色を体感させてもらい、光栄ながらも緊張する時間でした。なかなかできない体験をありがとうございます!

全部の現場を振り返ってみると、機械を使った林業には、人力では及ばないスピード感とパワフルさがあることを実感します。それを扱う人も、昔とは身に着けるスキルも感覚も違ってきているのだろうなと感じました。
ただ、変わらないものもあるような気がします。作業班の皆さんとの会話の中で、「次の世代につなげる山づくり」「安全に丁寧な仕事をすること」この言葉が度々聞かれました。
林業のカタチは変わってきていても、良い山を次世代に残したいという意識や責任感など、変わらず大切にされている想いがあるのだと感じました。

しかし、いまや人力で行うには大変な林業の作業量。高性能林業機械を活用することでできる山づくりがあるのだと、改めて認識しました。
ただ、このコストのかかる機械たちが活躍するには、広めの作業現場が必要であることも知りました。
東部林業さんは現在、比較的広い山林で高性能林業機械を使って作業を進めるスタイルで仕事をしていらっしゃるそうです。
私有林が細かく分布している山林では、なかなか広範囲の現場にはなりづらく、作業できるエリアは限られているようです。しかし、会社独自の得意分野を持って、佐賀の山でできる林業のカタチを模索されていらっしゃるのだということを知りました。

やはり、今回のように現場を直接見ることは、本や話で見聞きするのとは違う情報を体感できて、大変有難い機会でした。
改めて、林業が持つ仕事の大変さと重要さと魅力をもっとたくさんの方と共感できらたらという気持ちになりました。
今後も林業女子会の活動を通して、山と林業の魅力を伝える機会を作れたらと思います。
この度、丁寧に対応してくださった東部林業株式会社の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
貴重な視察の機会を本当にありがとうございました!

現場レポート:岩忠建設株式会社 視察

2020年12月24日(木)

こんにちは! 今回のレポート担当は、林業女子会@さがの門脇恵です。
関東から佐賀へ移住して7年。佐賀のお山(三瀬村)での暮らしは毎日とにかく楽しいです。
今日は佐賀県西松浦郡有田町にある岩忠建設株式会社さんへ視察に伺った様子をレポートしたいと思います。

 

 

 

まずは、製材業からご紹介。岩忠建設株式会社さんには、全国的に数が少なくなってしまった手引きの製材機があります。直径70cmまでの丸太がこの機械で製材できるそうです。この道40年の職人さんが丸太を1本1本微調整しながら美しい木材を仕上げる技術はまさに職人技。原木の曲がりやクセを見ながら少しずつ刻んでいくそうです。1度製材し、乾燥をしてからもう1度数ミリ単位で製材しなおすことで、より正確にくるいのない木材を仕上げるそうです。


岩忠建設さんの木材の特徴の1つはバイオマスエネルギー(太陽光発電)を利用した35度の低温乾燥を行っていることです。
天然乾燥は昔から木材に使われている技術。自然と木材を乾燥させることにより、木の良さを最大限に活かすことができます。色、艶、保湿、保温、抗菌作用。神社仏閣が古くからその形をとどめているのは、まさにこの天然乾燥をした良質な木材を使用しているからこそです。
一方で、天然乾燥はどうしても乾燥させるのに時間がかかってしまいます。欲しい時に欲しい木材が手に入りづらいうえに、場所をとる木材を天然乾燥させるには土地も時間も手間もかかります。

そこで今一般的に流通している木材の乾燥方法。それが高温乾燥です。高温処理をほどこすことで、短い時間で木材を乾燥させます。一定の品質を維持し、安定供給を可能にする。現在の木材市場のニーズを考えると一概にどちらが良いとは言えません。

この天然乾燥と高温乾燥のいいとこどりをしたのが、岩忠建設株式会社さんが導入している低温乾燥庫です。太陽光発電で作り出した電力により倉庫を35度の低温に維持し、木材の細胞を壊さずに、通常の天然乾燥よりも早く乾燥させることができます。

倉庫の中に入ってみると、木の良い香りとほどよい暖かさが気持ちよく、いつまでも倉庫の中に入っていられそうでした! ぽかぽかの太陽の下で森林浴をしているような気持ちよさ。バイオマス低温乾燥庫で健康を維持する新たな健康法が考案されるかもしれない! と思うくらいにバイオマス低温乾燥庫の中は快適でした。岩忠建設株式会社さんでは、こうやって乾燥させた木材を、常に10棟ほどの家が建てられるくらいキープしているそうです。すごい!!

低温乾燥庫も素晴らしいのですが、お隣に併設された牛舎をリノベーションしたホテルとカフェも素晴らしかったです! 木材屋さんだからこそできるぜいたくな木の使い方で、さりげなくおしゃれにDIYされた家具が素敵でした。身体に優しい薬膳カレーを昼食にいただいたのですが、とっても美味しかったです! 他では食べられない、スパイシーながら身体にさらっとなじむ深い味わいでした。


そして、外壁の木材がさりげなく無節で美しいことにテンションが上がる林業女子たちはちょっと変わっているかもしれません(笑)。
惚れ惚れするような素敵な外壁でした!

最後に、建設中の岩忠建設株式会社さんの分譲住宅地にお邪魔しました。なんと20棟を越える分譲住宅地のすべてを岩忠建設株式会社さんが手掛けているとのこと!! 
土地の確保、設計、製材、建設、庭の整備に太陽光システム、道路工事まですべてが岩忠建設株式会社さん1社でできてしまうんです。分譲住宅開発というよりは、もはや村建設に近いのではないかと思いました。

なぜこんなに幅広い事業展開をされているのですか? と聞いたところ「木材を使おうと思ったら建築が必要だし、家を建てようと思ったら土地が必要だし、道を作ったり造成も必要になるから、必要なものを1つずつできるようにしていった結果」とのことでした。凄すぎてただただ圧巻されるばかりです。

また、現場には業界では少ないと言われている若手の大工さんや、女性の建築士さんも多く、皆さん元気に楽しそうに活躍されていました。家を建てることを通して、地域に根付く若いファミリー層が増え、地域の若手には就職口を提供する。岩忠建設株式会社さんは木材だけでなく、地域と人とを、ゆるやかにあたたかく巻き込みながら循環させている素晴らしい会社さんなのだとわかりました。

佐賀にこんなに面白い会社があるということに感謝と驚きが隠せません。とっても勉強になる1日でした。岩忠建設株式会社の皆様、ありがとうございました!

 

現場レポート:佐賀東部森林組合 下刈り体験

2020年8月19日
林業女子会@さがの濱田櫻(はまださくら)です。
歌うことと絵を描くこと、人と話すことが大好きな大学一年生です。
令和2年の4月から西日本短期大学で森林についての勉強をしています。
今日は佐賀東部森林組合さんへ見学に行ってきた様子をレポートしていきたいと思います。

佐賀東部森林組合さんは地元の林業を活性化させるため、健全な森林の育成を目標に植栽や作業道開設といった森林整備やクリーク防災工事用資材の木材加工等を行われています。
森林組合と聞いて初めは年上の男性が多く若者や女性は関わりづらいイメージを持っていました。
ところが、当日案内してくださった現場の皆さんはとてもやさしい方たちばかりでした。
丁寧な説明を受けたり、冗談交じりの明るい雰囲気で対話をしていくうちに関わりづらいというイメージは払拭されました。
佐賀東部森林組合さんは、丁寧で正確な仕事を心がける姿勢とそれに負けない熱意とプライドを持った職人さんたちが働く素敵な職場だと感じました。


今回は実際の作業現場にお邪魔させていただき、下刈り作業を体験させていただきました。
下刈り作業というのは草刈り機や鎌を使い、植林した苗木の成長を妨げる雑草や雑木を刈り払う作業のことを言います。
作業を行ったのは神埼市背振町の標高500~600m地点。
今後開催予定の植樹の体験イベントに向け、何十年も放置された牧場跡地の広大な敷地の草刈り依頼を受けた場所でした。

山の入口で自己紹介と安全配慮に関しての説明があった後、作業を行いました。
今回の活動に参加した7名のうち、草刈り機の使用経験があったのは半数以下だったので、作業前に佐賀東部森林組合で働いていらっしゃる森田直弘さんと中川友久さんに草刈り機の使用方法の個別指導を行っていただきました。
私自身も職人さんが学校の庭を手入れする様子を眺めたことがある程度で草刈り機を使ったことはなく、知識・経験ともに0からのスタートでした。


素人目には少し重そうな機械を左右に動かしているだけのように見えますが、実際に使ってみると想像以上に難易度が高く1㎡の草刈りでさえかなり体力を消耗してしまいました。
機械の持ち方や姿勢、アクセルの加減や刃の高さなど意識するポイントがとても多かったです。
頭で理解していても体が追い付かなかったり、刃物への苦手意識で体がすくんでしまったり。
そして、不慣れな炎天下での作業にすぐに疲れてしまったりと心身ともに慣れと経験が必要な作業だと痛感しました。
この場所は普段作業している場所よりもずっと仕事がしやすい場所だと言っていました。
本当に過酷な現場なのだと痛感しました。


作業後は今の仕事を選ばれた経緯や森林組合の仕事の内容といった現実的な側面のお話を伺いました。
今回お話を伺った森田さんと中川さんは、どちらも幼少期から家の手伝いで、山作業に慣れていたのがきっかけでお仕事をはじめたそうです。
畑仕事や草刈りには慣れていたし、山も持っていたから家の仕事をそのまま継いだようなものだ、とおっしゃっていました。

私たち若い世代は、小さい頃から自然にかかわる機会が少なく、よく言われる3K(きつい、汚い、危険)を避ける傾向にあります。
確かに、林業という仕事はきつく、汚れもするし、危険もあると思います。
ですが、林業は日本人にとって切っても切れない関係にある大切な仕事でもあると思っています。

私はまだ林業に関しては知識、経験ともに未熟ではありますが、今回の現場見学を通して知った山の中で働く大人のカッコよさを伝えていきたいなと思いました。

佐賀東部森林組合の皆さん、お忙しい中ありがとうございました!

現場レポート:株式会社栗原木材店

2019年10月31日(木)
林業女子会@さがの馬場佐和子(ばば さわこ)です。
今日は唐津の株式会社栗原木材店さんへ見学に行って来た様子をレポートしたいと思います。
今回は林業女子会の新メンバー2名も加えて合計5名での見学となりました。

株式会社栗原木材店さんは創業60年。3代続く地元地域に根差した会社です。杭木を炭鉱に収める仕事からはじまり、木材業、製材業を営んできたそうです。3代目の息子さんの代からは木材業、製材業だけでなく、住宅販売、資材販売、住宅総合メーカーとしても事業の幅を広げたそうです。長年、木材と共に仕事をしてきた木、山、森の事を知り尽くした職人魂を持ったプロフェッショナルな会社さんです。

今回は製材所を見学させていただきながら、会長の栗原英一郎さん(以下栗原さん)から、佐賀の木材事情を通し、森の事、佐賀の山の現状、自然環境のことなど、熱いお話を伺って来ました。何か一般の方とは全く違う熱量を持ってらっしゃるのな? と感じるような素敵な熱さでした!! 栗原さんは佐賀県木材協会の会長や、林業・木材製造業労働災害防止協会の佐賀県支部長なども務めていらっしゃいます!

栗原会長

株式会社栗原木材店さんには現在では少なくなってしまった手引きの製材機があります。昔は、地域ごとに製材を担う木材店があり、直径60センチ以上の大木もたくさん製材していたそうです。今は、大型工場やメーカーなどで大量に製材されることが多いそうです。

製材機械

木材にはグリーン材、AD材、KD材の3種類があるそうです。
まずは、グリーン材。グリーン材は伐ったままの木材で乾燥をしていない木材です。
乾燥していないため、自然と少しずつ乾燥していく過程で木材が割れたり沿ったりすることが多いそうです。触ると水分をたくさん含んでいるためしっとりとしています。

一方、AD材、KD材は乾燥材になります。
AD材は「Air Dry Wood」の略称で、天然乾燥された木材です。木材を天然乾燥させるには半年以上の時間がかかるそうです。ただ、半年以上乾燥させても周りの大気中の湿度と同じところまでしか水分含有率を下げることができません。

KD材は「Kiln Dry Wood」の略称で、いわゆる人工乾燥材です。機械で短期間で乾燥させています。3種類の材の中では1番木材が動いたり暴れたりすることが少ないため、現在の建築業界ではこのKD材が主流として使われています。

木材が「動く」、「暴れる」というのは業界の用語のようなもの。木は乾燥させても生きていて、大気中の湿度や環境によって乾燥したり、また湿度を持ったりするため、加工したり、家や家具になってからも「動く」そうです。時には、思いがけず歪んでしまうほど動くこともある。そういうのを木が「暴れる」と表現するそうです。

木材が暴れないのならKD材が1番! というわけではない、ということを栗原会長は教えてくださいました。

今までの日本の製材業で主流だったAD材(天然乾燥材)は、木の性質が持つ「粘り」を保ち、何百年もの耐久性を保持できる強度を持っているのだそうです。木の性質を活かし、長く快適な空間を提供してくれる家を作るには、大工さんが手刻みで現場で少しずつ木材を加工しながら家を作る必要があるそうです。難しい技術ですし、時間がかかるけれど、素晴らしい日本の技術です。AD材の需要が減り、大工さんの仕事が減っている今の現状は少し残念に思いました。
栗原会長と共にこの日、製材所にかけつけてくださった佐賀県木材協会の山口さんも熱く語ってくださいました。

かけつけてくれた山口さんとメンバー

今回伺ったお話の中でも特に心を捉えた言葉は栗原さんの「家は森だ! 天然乾燥をした木は呼吸をして生きている。だから、AD材で作られた家は今も成長している」と言う強い言葉でした。

構造検査に合格しやすく、狂いの少ないKD材は一定の強度があり、短期間で商品化できるため、とても便利です。一方で、乾燥時に加熱されることで木材の細胞が死んでしまうため、本来の吸湿能力が低くなり、木の香りも艶もなくなるそうです。現代社会のことを考えると仕方ないと思う一方で、便利さの中から大切なものが失われているのでは? と感じました。

また、現在は木材価格が低迷し、ピーク時の1980年代に比べると丸太の価格は3分の1くらいにまで下がっているそうです。昔は一山の木材を売れば家を建てることができたり、子どもの結婚資金に充てていたそうです。
この木材の価値の低下と比例し山に入る林業家が少なくなり、それによる森林、里山の荒廃、治水、貯水の問題、土砂災害、河川の氾濫、頻繁に起こる洪水、全体に及ぼしている影響は甚大です。

大きな丸太

山を、木材を、どう活かすかは日本人のライフスタイルに大きく影響しています。日々、山が、製材所が危機的状況を迎えているのに、大切な木材の話、家の話はあまり一般の人には伝わりにくくまだまだ知らない事がたくさんあるのだろうなと感じました。

栗原さんの重みのある言葉の中から、自然に対する敬意と仕事で木材に携わってきた者の責任の重さが感じ取られ、今後の日本の森、自然環境に対する危機感、木材だけではなく社会全体で考えなければ解決しないことがあるのだと強く感じました。

この日は最後に林業女子会のメンバーと栗原さん、佐賀県木材協会の山口さんとの意見交換をしました。
林業女子会からは、公共建築物や大型建築物での木材利用を推奨したり、木材を利用した新たなビジネスも増やしていきたい! といった意見が出ました。
私個人的としては、大工職人さんの高齢化が進み、手刻みでの木材加工が出来る職人が減りつつある現在、木材の良さ、自然素材の良さを改めて見直して、再発見していく必要があると強く感じました。同時に、簡単なことではないかもしれませんが、新しいビジネスを育てるような画期的な取り組みが必要だな、とも思いました。

補足で気になったのは「脊振山系の杉はおび杉が多く、油っ気のある特徴を持っている!!」ということでした。今後のなにかのヒントになるのでは?

現場レポート:伊万里木材市場

林業女子会@さがの米良 貴美子(めら きみこ)です。
今日は株式会社伊万里木材市場さんの原木市場へ見学に行った様子をレポートしたいと思います

集合写真(右から3番目が筆者)

午前中は経営管理部主任の吉村さんが、アテンドしてくださり、丁寧にいろんなことを教えてくださいました。

毎月11日と28日は原木市があるそうです。私も知らなかったのですが、魚の市のように原木市では4mや6m、直径が太かったり細かったりといった原木が「競り(せり)」にかけられて業者さんに買い取られていくそうです。
ちょうどこの日は大きな特別市の競りの現場を見る事が出来ました。佐賀はもちろん、熊本、鹿児島、宮崎、大分、長崎など九州中の原木がたくさん運ばれて、並べられていました。特に長崎は原木市場がないので伊万里まで持って来られることが多いそうです。

ずらっと並んだ原木

佐賀県産木材は全体の3割程度と少ないとのこと。理由は林業が盛んな地域に比べると山が小さく、私有林も狭くて作業する場を確保しづらかったり、担い手の高齢化に伴い、放置されている山がたくさんあるからだそうです。佐賀県の木材が少ないのは残念な気持ちもありますが、これからまだまだ活用できる山林資源が眠っていると思うと先が楽しみです。

木材を買い付けに来たお客様は、渡された短冊型の小さな白い紙に、希望の金額を書いて競りに参加されていました。原木では、直・小曲・大曲、製材品では、特上・特一等・一等上などランク分けがされていて、年輪が密で、かつ均等で節がないものほど価値が高いそうです。2センチきざみの直径の最短部分が木材のサイズになるそうです。

競りの風景

直径のサイズや木材の長さごとに機械によって原木を選別し、同じサイズ、長さごとに山にして競りにかけるそうです。他にも、人の目で見て曲がり具合や木材の質を丁寧に見ることもあるそうです。

寒い地域の木材ほど年輪の幅が凝縮され細かくて硬く、温かい地域では若い木の頃、年輪がふわっと緩む。また、年輪を見れば、成長過程で枝打ちをしたこと、強風に煽られた、災害にあったなどすべて現れていると教えていただきました。

梅雨時期は木材に虫がつきやすかったり、樹皮が剥がれやすく木が割れやすいので林業のベストシーズンは秋から冬にかけてだそうです。

立派な丸太写真

㈱伊万里木材市場さんは九州の中でも大きな規模の会社で、伊万里本社をはじめ、福岡、大分、鹿児島にも営業所や事業所を設けて、素材確保のためだけでなく、森林のため、森林に関わる人のために、地球のため、未来のためにいろんな事業を展開されているとのことでした。

午後からは会社の概要をプロジェクターで説明していただいたあと、その事業の一つ、杉のコンテナ苗を育成しているハウスと、森林を伐採している現場を見せていただきました。

コンテナ苗場写真

より良い木の挿し穂を採取して温度や水の管理をしているそうです。他にも、土を研究しながら試行錯誤をして、取り組みとしては3年目になるそうです。苗木を育てる容器には底がなく、巻きものに巻かれたような状態で育てられており、底をなくし地面から10センチほど浮かして空間をつくって配置することで、根が真っ直ぐ下に伸び、植樹したときにしっかり根付きやすい工夫がされていました。

コンテナ苗木写真

伐採の現場では、まずは道を切り拓き、檜の香りが漂うなか、道を登っていくと最新の重機を操り、次から次へと伐採、枝を落とし切り分けるところなど、普段では見る事ができない迫力満点な現場は重機が生き物のように感じられるほど、圧巻でした。

高性能林業機械

正直、林業に関してほぼ無知ながら素晴らしい機会を得て参加させてもらった㈱伊万里木材市場さんでの現場見学は、とても勉強になり、さらに興味が深まりました。苗木が大木に育つまでに50年以上かかることだからこそ、今ある森を育てた先人がいたことに気づかされ、感謝の気持ちがわきました。私たちも未来の人たちや地球のために残す努力を”今”しなければならないと改めて実感しました。

市場見学風景

「ウッドデザイン賞2019」の募集が始まります

6月20日より、「ウッドデザイン賞2019」の募集が始まります。

「ウッドデザイン賞」は、木材利用促進のため、木の良さや価値を再発見できる製品や取組を消費者目線で表彰する顕彰制度で、昨年度は第一戦で活躍されている建築家、デザイナー、研究者等の方々の審査を経て、189点の作品が受賞しました。
入賞作品は、「ウッドデザインマーク」を使用できるとともに、展示会への出展等により幅広くPRされます。

また、「ウッドデザイン賞にふさわしいのではないか」「消費者目線を持った新しい木の活用をしているのではないか」と皆さまが考える木製品、建築物、活動、研究等を紹介していただく「あなたのおすすめウッドデザイン」の募集も行われます。

いずれも募集期間は、6月20日(木)~7月31日(水)です。

詳しくは、下記ホームページをご覧ください。
https://www.wooddesign.jp/

「ウッドデザイン賞2017」を受賞しました

 12月7日(木)から12月9日(土)にかけて、東京ビッグサイト東展示場において、日本最大級の環境展示会「エコプロ2017~環境とエネルギーの未来展」が開催され、「ウッドデザイン賞2017ブース」にて、上位賞作品(最優秀賞1点、優秀賞9点、奨励賞15点)と、入賞作品250点が展示されました。

 ウッドデザイン賞とは、「木」に関するあらゆるモノ・コトを対象に、暮らしを豊かにする、人を健やかにする、社会を豊かにするという3つの消費者視点から、優れた製品・取組等を表彰するものです。これによって、“木のある豊かな暮らし”が普及・発展し、日々の生活や社会が彩られ、ひいては国産材の需要が拡大し、適正な森林整備が進むことを目的としています。

ウッドデザイン賞は、建築・空間・建材・部材分野、木製品分野、コミュニケーション分野、技術・研究分野の4分野に分かれており、そこからさらに、ライフスタイル部門、ハートフルデザイン部門、ソーシャルデザイン部門の3部門に分かれます。

佐賀県林業課では、デザイナー等の発掘・育成を図りながら、実際に商業スペース等のリノベーションに取り組んだ「さがつく木のインテリアデザイン創出事業」をコミュニケーション分野のソーシャルデザイン部門で応募しました。

8月28日(月)の一次審査を通過し、10月25日(水)の二次審査の結果、応募総数453点の中から入賞250点の一つに選ばれました。

 今年で3回目となるウッドデザイン賞ですが、より多くの方々に認知され、木の良さや価値が再発見されることを期待します。

ウッドデザイン賞2017 賞状
みどりの女神との写真
人材発掘・育成でさがつく木のインテリアデザイン
佐賀県農林水産部林業課(佐賀)
展示パネル(エコプロ2017「ウッドデザイン賞2017ブース」にて)

森林資源の循環利用を進めるためには、森林から生産される木材を適切に利用することが必要である。本県では、木材利用のPRや魅力的な木造建築物を提案する人材が不足していることなどから、その利用が十分でない状況である。このため、デザイナー等の発掘・育成を図りながら商業スペース等のリノベーションに取り組んだ。

【審査委員会より】

大工、工務店、家具製作と著名デザイナーが参画し、ワークショップを通じて実際のリノベーションとともに人材育成を図る取組である。各人材のネットワーク化によって木材利用の相談窓口として機能することが期待できる。