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現場レポート:伊万里木材市場

ブログ 2020.06.01

林業女子会@さがの米良 貴美子(めら きみこ)です。

今日は株式会社伊万里木材市場さんの原木市場へ見学に行った様子をレポートしたいと思います


集合写真(右から3番目が筆者)

午前中は経営管理部主任の吉村さんが、アテンドしてくださり、丁寧にいろんなことを教えてくださいました。

毎月11日と28日は原木市があるそうです。私も知らなかったのですが、魚の市のように原木市では4mや6m、直径が太かったり細かったりといった原木が「競り(せり)」にかけられて業者さんに買い取られていくそうです。

ちょうどこの日は大きな特別市の競りの現場を見る事が出来ました。佐賀はもちろん、熊本、鹿児島、宮崎、大分、長崎など九州中の原木がたくさん運ばれて、並べられていました。特に長崎は原木市場がないので伊万里まで持って来られることが多いそうです。


ずらっと並んだ原木

佐賀県産木材は全体の3割程度と少ないとのこと。理由は林業が盛んな地域に比べると山が小さく、私有林も狭くて作業する場を確保しづらかったり、担い手の高齢化に伴い、放置されている山がたくさんあるからだそうです。佐賀県の木材が少ないのは残念な気持ちもありますが、これからまだまだ活用できる山林資源が眠っていると思うと先が楽しみです。

木材を買い付けに来たお客様は、渡された短冊型の小さな白い紙に、希望の金額を書いて競りに参加されていました。原木では、直・小曲・大曲、製材品では、特上・特一等・一等上などランク分けがされていて、年輪が密で、かつ均等で節がないものほど価値が高いそうです。2センチきざみの直径の最短部分が木材のサイズになるそうです。


競りの風景

直径のサイズや木材の長さごとに機械によって原木を選別し、同じサイズ、長さごとに山にして競りにかけるそうです。他にも、人の目で見て曲がり具合や木材の質を丁寧に見ることもあるそうです。

寒い地域の木材ほど年輪の幅が凝縮され細かくて硬く、温かい地域では若い木の頃、年輪がふわっと緩む。また、年輪を見れば、成長過程で枝打ちをしたこと、強風に煽られた、災害にあったなどすべて現れていると教えていただきました。

梅雨時期は木材に虫がつきやすかったり、樹皮が剥がれやすく木が割れやすいので林業のベストシーズンは秋から冬にかけてだそうです。


立派な丸太写真

㈱伊万里木材市場さんは九州の中でも大きな規模の会社で、伊万里本社をはじめ、福岡、大分、鹿児島にも営業所や事業所を設けて、素材確保のためだけでなく、森林のため、森林に関わる人のために、地球のため、未来のためにいろんな事業を展開されているとのことでした。

午後からは会社の概要をプロジェクターで説明していただいたあと、その事業の一つ、杉のコンテナ苗を育成しているハウスと、森林を伐採している現場を見せていただきました。


コンテナ苗場写真

より良い木の挿し穂を採取して温度や水の管理をしているそうです。他にも、土を研究しながら試行錯誤をして、取り組みとしては3年目になるそうです。苗木を育てる容器には底がなく、巻きものに巻かれたような状態で育てられており、底をなくし地面から10センチほど浮かして空間をつくって配置することで、根が真っ直ぐ下に伸び、植樹したときにしっかり根付きやすい工夫がされていました。


コンテナ苗木写真

伐採の現場では、まずは道を切り拓き、檜の香りが漂うなか、道を登っていくと最新の重機を操り、次から次へと伐採、枝を落とし切り分けるところなど、普段では見る事ができない迫力満点な現場は重機が生き物のように感じられるほど、圧巻でした。


高性能林業機械

正直、林業に関してほぼ無知ながら素晴らしい機会を得て参加させてもらった㈱伊万里木材市場さんでの現場見学は、とても勉強になり、さらに興味が深まりました。苗木が大木に育つまでに50年以上かかることだからこそ、今ある森を育てた先人がいたことに気づかされ、感謝の気持ちがわきました。私たちも未来の人たちや地球のために残す努力を"今"しなければならないと改めて実感しました。


市場見学風景