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【施工・設計】古川建築株式会社

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M邸 最優秀賞佐賀県知事賞

構造材を見せた吹き抜けのLDKに薪ストーブを設置設計に合わせて家具も製作、統一感際立つ家に

住宅の特徴(紹介)

白い壁に木の窓枠が並び、屋根上から煙突が見える外観は、車通りの多い界隈で目を引くM邸。木板でつくったフェンスの周りは、季節の花や緑で飾られています。引き戸の玄関を開けると、木の香りがほわんと漂います。
家を建てるにあたり、ご主人の一番の希望は、LDKに薪ストーブを設置することでした。吹き抜けにしたLDKの中央南側に薪ストーブを設置し、二階には、開閉式の窓を設けて、空調の調整ができるようにしました。キッチン台は、壁に据え付けず、ぐるりと回れるようにし、さらに、キッチンからパントリー、浴室、洗面も、効率よく動けるような導線に。食器棚や洗面台、流し台の外装、テレビラックに至るまで、佐賀の木を使い、設計に合わせて製作されているので、家全体に統一感が生まれ、落ち着いた雰囲気に包まれています。LDK横につくった小上がりの和室では、娘さんがおもちゃ遊びをしたり、お昼寝したり・・・。窓側には、佐賀の伝統工芸品肥前名尾和紙を使い、柔らかな光が差すように演出しています。
2階に上がるとフリースペースが。ここは、奥様の希望で実現した場所で、デスクが据えられ、ハンモックが置かれています。「実は、下からの空気がくるので、雨天時には、ここで急ぎの洗濯物を干すと、すぐに乾くんですよ」と奥様。主婦目線のアイデアも活きています。
新居に移り住んで半年が過ぎ、初めての冬を過ごしてみて、「この薪ストーブ1台で2階まで暖気が行きわたるので、快適に、温かく過ごしています。あまりに居心地がいいので、早く家に帰りたくなるんですよ・・・」とご主人。木の温もりが溢れるLDKで家族水入らずで過ごす時間が癒しの時間になっているそうです。

木材(特に県産木材)の利用を工夫したところ

構造を現しにしました。LDKには一階から二階天井まで伸びる佐賀県産材の桧の六寸角大黒柱、昔ながらの大工さんの手刻みによる加工を用いていますので、ボルトなど金物はみえず、見える部分は木栓を使用し細かいディテールまで拘りました。木をふんだんに使用し和風には、なり過ぎないよう、おしゃれなデザインに仕上げました。

木材を使用した箇所(外装・内装)

内装箇所/杉の無垢厚床板と真っ白の珪藻土を壁に用いて、明るく、ぬくもりのあるデザインに仕上がりました。建具も木製建具を作り、佐賀の名尾和紙なども使用しています。構造は四寸角使用で普通の材木より大きな材木を使用。自然乾燥の材木を大工さんによる手刻み加工で木を組んで木栓で組み現しています。構造材も現しとし、適材適所に限られた材料を美しく見えるように配置しています。

■住宅概要/敷地面積 473.63㎡・延床面積 158.99㎡
木材使用量(㎥)

全体使用量/26

うち県産木材(㎥)

全体使用量/19
うち構造材/14
うち内装材/4
うち外装材/1

審査委員講評

木栓組みなど技術力も高く、県産木材をふんだんに使い、県産木材を使用した家づくりの意欲が感じられる。またメリハリが効いた内外装の木材の見せ方や考えられた軒先の深さ、リビングの広さが目を引く、くつろぐ家族の声が聞こえてきそうで作り手の思いも随所にみられる。細部にわたって工夫がなされた住宅となっておりおしゃれな木造空間が素晴らしい。