【施工】古川建築株式会社/【設計】株式会社川﨑空間研究所
木の質感と公共施設としての機能性を両立
住宅の特徴(紹介)
自治会公民館の現地での改築になります。以前の建物は鉄骨造で、2階にある集会室には外階段を使って出入りする必要がありました。危険性や、耐震性の不備などを考慮して建て直しをすることとなりました。敷地は2面のセットバックや道路斜線、準防火地域の規制、大雨時の浸水対策など厳しい条件ではありましたが、準木造の建物をオール佐賀の関係者で実現させることができました。
木材を使用した箇所(外装・内装)
軸組の構造材は多良岳産 のヒノキ材を使用し、野地板はヒノキ垂木との対比を考え30mm厚のスギ材を使用しています。外部は室内から連続した軒裏の垂木や野地板が木造である建物の特徴を印象付け、西側正面の通し柱には伝統的な三方差しを施すことで職人の手仕事が伺える設えとしています。
木材(特に県産木材)の利用を工夫したところ
痛みやすい床や建具を除き、構造材は100%多良岳産のヒノキを使用しています。太良町 で生産可能な材⼨から構造を考え、事前に木拾い表に基づいた伐採をしてもらうことで無駄を最小限に抑えています。また、天然乾燥と最短距離の輸送により、生産時のCO2を⼀般流通材の1/5 に抑え、環境に対する負荷も最小限とすることができました。
施主の思いを汲んだところ
佐賀市の中心市街地に立地し、利用する住民はマンション住まいも多く、日々RC造や鉄骨造の空間で過ごす方が多い環境であることから、県産木材を使うことで街中でも居心地良く、地場産の良さを最大限生かした完全地産地消のサスティナブルな公民館づくりができるのではないかと考えました。地域の材料、職人の手仕事をふんだんに使った佐賀ならではの建物になったと思っています。
全体使用量/12.30
うち構造材/9.2
全体使用量/10.60
うち構造材/9.20
内装材面積/48.03㎡
審査委員講評
築50年以上の公民館が木の温もりを感じる機能的なデザインに生まれ変わりました。室内から連続する軒裏が木造建築としての佇まいを表現する外観。伝統的な「三方差し」を施した、職人の手仕事を感じるしつらえが印象的です。傷みやすい床や建具を除き、構造材は100%多良岳産の木材を使用。開放感のある高い天井にはヒノキやスギをしつらえ、天井を照らす間接照明が天然木の美しさや温かみを際立たせています。